ゆるりアーユルヴェーダの旅 in Tagiru.

スリランカで見つけた自分を大好きになれる場所

vol.8(最終回) 修司さん、真生のこと

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Tagiru.を経営する伊藤修司さん、真生さん夫妻。私と真生は、私達が高校生のときに留学先のオーストラリアで出会いました。
ゴールドコーストで人生初のビキニを着て大興奮していた16歳の私達が大人になり、今度はインド洋に見守られながら再会。彼女が、私をアーユルヴェーダに出会わせてくれました。
真生とそっくりの顔で笑う女の子を育てながらヨガを学び、たくましく生きる彼女と時を共にしていると、あの頃の私達の面影が遠くも鮮やかに思い出されました。

修司さんは、奇跡の人です。「奇跡の人」なんて書くと安っぽく聞こえてしまうかもしれないけれど、やっぱり奇跡なんです。
30代突入を目前に、日々猛烈に働いていた修司さん。食事も睡眠も不規則になりながらも、とにかく仕事が第一の日々で、当時付き合っていた真生は心配して何度も食事を作りに行ったと言います。
そんな生活を続けていたある日、修司さんの身体の半分が痺れて動かなくなりました。
診断結果は「多発性硬化症」。原因不明の、難病です。
子どもの頃から医師を目指して医学部に通っていたこともある修司さんは、身体が動かなくなっていく恐怖と闘いながらも、自身の知識をフル活用して治してくれる医師、医療を探します。
それでも、日本で修司さんの病気を治してくれる医師に出会うことはなかった。処方された薬の副反応に苦しみ、現代医療の限界を感じた修司さんは、他の道を探します。

そこで出会ったのが、仕事で訪れたことのあるスリランカのアーユルヴェーダでした。
約1か月をかけてアーユルヴェーダを受けてみたところ、痺れや不調の70%が改善されたと実感。
元々は医師を目指していただけに、西洋医学以外のいわゆる民間療法には懐疑的だったという修司さんですが、奇しくも自分の身体でその奇跡を目の当たりにしたのです。

その後、スリランカに移住してアーユルヴェーダの本格リトリートを受けることができるホテルを作ることを決意。
難病を抱えてから7年の月日が経った2022年1月。
小さな宝石が敷き詰められているように輝くビーチの目の前に、Tagiru.がオープンしました。

スリランカで暮らし、ホテルを経営する修司さんの笑顔はとても穏やかです。

実は、今のスリランカは深刻な経済危機で、ドル不足、物資不足、電気もガスも政府への信頼も何もかもが無い状況です。
ホテルにはジェネレーターが完備されているので何も問題なく快適に過ごすことができますが、一般の人々が暮らす民家では、ひどいときには1日に13時間の計画停電が実施されます。
ガソリンスタンド前には常に車とトゥクトゥクが長蛇の列を作るも、実際にガソリンを手に入れることが出来る人はほんの一部。
物価は日に日に上がり続け、お金があったとしても物が買えない今の状況でホテルを経営するなんて、普通ならあり得ない選択だと思います。
しかもここはスリランカ。
異国で外国人がビジネスをするというのは、経営本体とはまた別のハードルをいくつも越えていかなければなりません。

それでも修司さんは、この道を選んだ。

このとても笑っていられない状況で微笑みながら、熱くたぎる想いをカタチにしている。

Tagiru.は、2人の生き様そのものです。

実際にアーユルヴェーダを受けた1人として、友人として、これほど勇気を与えられる存在はありません。

これから多くの人がTagiru.を訪問し、それぞれのアーユルヴェーダに出会うことを考えると、自分事のようにわくわくします。

皆さん、素敵な滞在を!

– Tagiru. –
アーユルヴェーダ本格リトリートホテル
https://tagiru.com